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定価:本体2,315円+税 発行元:同時代社 ● 同時代社 | |
<本の紹介>『中国国共内戦と朝鮮人部隊の活躍 一九四五年八月〜一九五〇年四月』 米国と中国、この二つの大国はいまや、冷戦後の国際秩序再編の中心となっている。しかし中国は、六六年前に中華人民共和国が成立するまでは帝国主義列強の半植民地であり、図体の大きい弱小国にすぎなかった。 日本敗戦当時、東北地方は中国共産党組織の空白地帯であるばかりか、国民党軍の到着を待つ土匪、日本敗残兵、旧「満州国」残余勢力のうごめく無法地帯となっていた。 シベリアの基地にいた金日成は、ソ連軍対日参戦と同時に指揮下の朝鮮人民革命軍の優秀な幹部たちの一部を、祖国にではなく中国東北地方に派遣する。派遣にあたって彼は、根拠地の創設、朝中人民の武装隊伍編成、党、大衆団体、政権機関の組織を指示した。これらの措置が、やがて大きな威力を発揮する。 そればかりではない。難関に直面するたび中国側の要請にこたえて金日成は戦略戦術的助言をあたえ、守勢から攻勢へ、勝利へ、と戦局を転換させていった 国共内戦に直接参加した朝鮮青年の数は約二五万といわれる。彼らは軍規厳正、犠牲精神に富み、突撃隊として中国人部隊の模範となり士気を高めた。国民党総統・蒋介石は「北朝鮮が軍隊を送ったから我々が負けた」と慨嘆した。原書の「あとがき」はそう記している。 美しい話ばかりではない。大国主義と民族排外主義を克服しきれないごく一部の人たちが犯した過ちで、朝中人民間に重大な軋轢が生じたこともあった。 本書で直接触れてはいないが、慧眼の士は、国共内戦につづく朝鮮戦争の性格をも看破するに違いない。すなわちそれは、中国大陸を失った米帝国主義が、朝鮮半島を反攻の足場にするため、朝鮮民主主義人民共和国の抹殺を企んだ侵略戦争だったのである。 抗日戦争につづく国共内戦、そして朝鮮戦争。ともに血を流して戦った朝中人民の記憶は末永く消えることはない。この記憶が生きている限り、枝葉は風にゆれても朝中関係の根幹は不動であることを、本書は強く示唆しているのではないだろうか。 朝鮮半島核問題をめぐる現情勢の先を見透す上でも本書は必読の書といえよう。 |